過激的なポスターが拡散され話題に
「お子様の車内放置を発見した場合は 救出の為、車の窓ガラスを割る場合があります」
「とも@Decent」(@Tomota_1988)さんのツイッターのキャプチャー
愛らしい赤ちゃんの寝顔に添えられた過激的なフレーズ。この一枚のポスターにネットに衝撃が走り、各所で議論が交わされたのです。
メディアが取り上げたのは7月 しかしその前にもう一つの事件が…
このポスターが拡散される1ヶ月前(2018年6月)。乳児の車内放置致死事件で罪を問われた女性に懲役4年が言い渡されていました。
昨年5月、山口県防府市内のパチンコ店駐車場で発生した乳児の車内放置致死事件で、保護責任者遺棄致死の罪に問われていた母親の小川利恵被告(24)が5月4日、言い渡された懲役4年の実刑判決を不服として広島高裁に控訴した。NHK NEWS WEBが伝えた。
小川被告は生後2ヶ月の娘を約5時間半にわたりパチンコ店駐車場に駐めた車内に放置。乳児は熱中症を引き起こして死亡していた。
グリーンべると
どうやら彼女は常習的に車内放置をしていたようで、娘を死に至らせた5時間半の車内放置事だけでなく、数日前も同様に放置していたというのです。
『子どもの車内放置撲滅キャンペーン』
子どもの車内放置撲滅キャンペーン
平成25年からホール関係5団体(※1)がホール駐車場等における「子どもの事故防止対策」の取り組みをしているものの、表にあるように車内放置による子どもの死亡事故は根絶されていないのが現状です。
またJAFによれば、炎天下の車内はエンジン停止後30分程で約45℃まで上昇するとのこと。
エアコンで適温が保たれている車内でも、エンジンを停止させ5分経過した時点で車内温度はすでに約5℃上昇し、15分後には熱中症の指標である熱中症指数が危険レベルにまで達してしまいました。こうした状況下に子供を放置するのは危険です。また、加齢により体力の低下した高齢者は体温調整機能が低下していることがあるため、同様に危険です。
JAF
たとえ窓を3センチほど開けていたり、フロントガラスをサンシェードで覆っていても、脱水症状や熱中症を招く危険性があることに変わりはないそうで、これは体力の低下した、高齢者にも同じことが言えるようです。
(※1)関連5団体
全日本遊技事業協同組合連合会
一般社団法人 日本遊技関連事業協会
一般社団法人 日本遊技産業経営者同友会
一般社団法人 余暇環境整備推進協議会
一般社団法人パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)
だからといって、他人の車の窓を割って良いのか?
「お子様の車内放置を発見した場合は 救出の為、車の窓ガラスを割る場合があります」
ポスターが拡散された時、このフレーズに違和感を感じた人も少なくないようでしたが、まず先に答えを言ってしまいますと、「子どもが車内放置」されており緊急性などが求められるとき、(窓を割った人は)窓を割っても法律で保護されます。
【刑法 第7章 犯罪の不成立及び減免 第37条】
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
一方で、子供を車内に放置した場合は刑法で罰せられます。(「保護責任者遺棄致死罪」、「重過失致死罪」など)
【刑法第30章 保護責任者遺棄致死罪 第218条】
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3ヶ月以上5年以下の懲役に処する。【刑法第28章 過失傷害の罪 第211条後段 重過失致死】
5年以下の懲役、5年以下の禁錮、50万円以下の罰金
K-Navi(ケイナビ)
車内放置を見つけたら他人の車を割ってでもいいから助けなければいけないのです。それがたった数分の車内放置であったとしてもその報いを受けて当然といってもいいでしょう。
このようにパワフルな救出方法もありますが、ネットでポスターが拡散された時「託児所」という言葉がSNS内でちらほら見受けられました。
ホールに託児所…的を射てますが法律的に、費用的にどのような条件が必要なのでしょうか。
「託児所」を作ることは思ったより難しくない?
近年、厚生労働省は「事業所内保育施設設置・運営等支援助成金」の活用を推進しています。特に中小企業の保育施設設置・運用へは補助金が手厚いのが特徴です。
また、中京エリアに23店舗(2018年7月現在)を構えるZENTグループは一部店舗に託児所「ぴよぴよ」を併設しており、「ぴよぴよ」は保育資格を持つ企業と提携することで運営しているようです。
保育資格を有するスタッフを常駐させるとともに、入室、退室管理を徹底することでお子様の安全確保を実現。施設内には幼児用トイレをはじめ、シャワー、床暖房、お昼寝用ベッドなど充実した設備をご用意し、お子様にも快適な環境をご提供できるよう努めています。
託児所を併設するには面倒な申請や多額の投資資金が必要と思われがちですが、助成金や他企業との提携により現在はハードルが下がっているようです。
「車内放置」で亡くなってしまう幼い命を減らすためにも、貴社の社労士や助成金サポートを行う専門会社に相談して、パチンコホールに併設した託児所の設置を検討してはいかがでしょうか。
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