6号機が導入され、より厳しい状況に立たされているパチンコ・パチスロ業界で設定師は今、どのようにしてホールに関わっているのだろうか。
―設定師ってどんなお仕事をされているんですか?
「稼働をあげること」、「売り上げ」、「粗利」という順番でホール様が利益を上げられるよう仕事をしています。
―そのために、設定師は設定を考えてると。
私たちの仕事は『設定師』と呼ばれていますが、設定について考えるのは、仕事時間で換算すると、せいぜい1割くらいなんですよ。
―1割ですか!?
はい。我々の業界では一から人間が設定を考えることはもはや無くなっています。
我々は設定を組むためのソフトを独自で開発しており、ホールの予算に合わせてソフトがはじき出した設定を修正しています。
―単純に設定を考えてるだけの人かと思いました(笑)
設定師って聞くとそう思いますよね(笑)
ただ、何のために設定1〜6があって、何で6をそこに入れたのか、ということを分析して、次回はどこに設定をいれるのがベターなのかを経験則を交えつつホール様にご提案します。
その結果として、「どこに何の設定を入れるとユーザーの反応がいいのか?」、「どのようにすればユーザーの客滞率や投資金額が増えるのか?」そのノウハウをどんどん積み重ねて、よりユーザーが楽しめ、かつホール様が損しない設定の入れ方を考えてますね。
あくまで、設定を入れる理由は「ホール様の粗利をどうやって稼ぐか?」という観点なんで。
―じゃあ、今日は7の末尾は高設定! とかって都市伝説なんですか…?
そんなことはないですよ(笑)もちろん採算度外視でユーザーに還元するケースもあります。
ですが、基本的にソフトが出した設定を修正して設定を考えてますね。我々の知識や経験が物を言う世界でもあるので。
―お話を聞いていると、もはや設定師は存在しないような口ぶりですが…
皆さんがイメージしてる設定師は今の時代は皆無。
紙一枚渡して「今日はこの設定で」という前近代的な設定師はもういないんですよ。
設定を打っているだけで食べていける時代はもう終わりましたね、今はホールの隅々まで考えていかないと、ユーザーが満足できない時代なので。
―では、残り9割はホールの隅々まで考えているということですか?
そうですね。ホールのコンサルティングを行っています。
―ホールのコンサルとは具体的にどのようなことをされるんですか?
設定以外の部分で、「どのようにしたらユーザーがホールに足を運んでくれるか」を考えています。「毎日高設定を入れてくれたらいい」と思うユーザーの方々は多いと思いますが、そんなことをしていたらホールは全滅です(笑)そこで、我々の経験とともにコンサルをしてゆくのです。
―ホールにユーザーを導く施策は、設定師さんだけで考えるんですか?
いえ、企業の責任者や店舗長と会議を行い、施策を考えますね。
そして実際にホールに足を運び、店内の装飾・店員の接客・トイレの綺麗さ等、ホールがユーザーのために何をやっているか、どんなサービスを提供しているかを確認しに行きますね。
―店内の装飾もトイレの清潔さも設定師さんがチェックするんですか?
トイレもチェックしますね。「1時間に1回の掃除を30分に1回にしたらどうか」とかちょっと細かいこともアドバイスします。その方がユーザーさんも気持ちよく遊技してくれますよね?
あと装飾の件ですが、例えば、マイジャグラー4を20台設置し看板機種に据えているホールがあるとします。せっかく20台も置いているのに店内に何の装飾もないとその機種を殺していることになります。
そこで優良店や好調店の施策を参考にして、どうやったら稼働が上がるかをホール様に提案をしていきます。提案が成功すれば5,000回転しか回ってない台が、装飾で8,000回転になることもザラにありますね。
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顔の見えづらい『設定師』。現在はパチスロの設定についてコンサルをするだけでなく、清潔さや店員の接客、装飾などホール全体をコンサルし、日夜ホールの経営について懸命に思考を巡らせているようだ。
取材・文 / 桜井智宏
イラスト / BANCO
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